株価チャートの教科書 / 足立武志


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チャート分析(トレンド分析)を勉強したくて手に取ってみた1冊。

結論、『めちゃくちゃ良かった』。
この1冊に基本的なことは網羅されている(気がする)し、説明も分かりやすい。
1回読んで終わり…というタイプの本ではなく、実際の相場で辞書のように調べながらチャート分析を身に着けていく…というタイプの本かなかな。

という事で、チャート分析を勉強するなら読んでおきたい1冊かな、と。

以下、メモ。

第1章 株価チャートのしくみを知ろう

ここでは、基本中の基本(ローソク足とは?移動平均線とは?など)が記載されている。

株価チャートと移動平均線から、『トレンド』が読み取れる。


上記をシンプルにすると、下記表の感じですね。

①が上昇トレンド / ②が下降トレンドの理由

移動平均線とは、株の買手の『買値の平均値』。

【①が上昇トレンド】
『株価が25日移動平均線の上にある』とは『過去25日に購入した投資家は平均すれば含み益ポジション』ということ。
となれば、株を無理に売却する必要はなく保有を続けるだろうから、売り圧力が弱まり、株価が上に向かいやすい。

【②が下降トレンド】
『株価が25日移動平均線の下にある』とは『過去25日に購入した投資家は平均すれば含み損ポジション』ということ。
となれば、株価が戻れば早く売って楽になりたいという心理が働き、売り圧力が強まり、株価が下に向かいやすい。

第2章 「買いタイミング」を見極める!

買いタイミングの大原則は上昇トレンド

 

買いタイミングの基本ポイント

大原則(前提):上昇トレンドであること
①そこから株価が上昇する可能性が高いこと
②できるだけ安く買うこと
③失敗した場合の損切り価格が明確かつ客観的に設定できること


基本的には★1~3が買いタイミング。
★1~3以外でも、上昇トレンド中であれば基本的にいつ買ってもよいが、表内▲の部分には注意

※押し目…上昇トレンド中の一時的な下げ
▲1…反落途中での買いはダメではないが、そのまま平均線を割り込む可能性もあるので、押し目を確認できてからの方がベター。

▲2…押し目からの反発であっても、平均線を割り込んでいる局面で買うのは望ましくない。株価が平均線を割り込んでいても、平均線が上向きなら上昇トレンドが続いている可能性が低くないのは確か。ただし、株価が平均線を割り込んでいるという事は、ここから下降トレンドに転換する可能性もある。

▲3…株価が平均線から大きく乖離している場合は避けた方がよい。(次章以降解説)

下降トレンドの中での新規買い

上昇トレンドに転じない限り買わないのが原則だが、株価がだ下降トレンドにあるうちに新規買いする方法もある。

①底値圏での買い


■1(底値)…株価が大きく下がって『さすがにここからもっと下がる可能性は小さいだろう』と思えるタイミング。ここでは、例え失敗しても、このタイミングで繰り返していれば、いつかは本当の底値近くで買う事ができる。

■2(二番底)…底値(上記■1)からの反発後に再度下げに転じても、底値(直近安値)を下回らずに再び反発した場合は、株価が底打ちした可能性が高まる。

■3(直近高値越え)…株価の下落局面では、直近高値を超えることはない。なので、下落局面の中で直近高値を超えるというのは『底入れしたサイン』と捉える事もできる。

※★1が上昇トレンド転換のタイミング。
※■1は本当の安値かどうかは分からない。■2と3は、底値が固まった可能性が■1よりは高まる。
※(A)は下落途中で、底値と判断できる材料がないため、買いは控える。

②急落時のリバウンド


平均線から大きく乖離した時は、その後乖離を縮小させる方向に動くのが株価の習性。
ただし、急落後は反発も急速に進む事が多く、タイミングが取りづらいのも事実。

①…各種テクニカル指標※(過去の経験則)に基づき、底値を見極める。
なお、各種テクニカル指標において底打ちの可能性が高いと判断しても、多少反発するのを待ってからの方がベター(→表内の▲で買いに行くのは控えた方がよい)。
※各種テクニカル指標
・日経平均25日移動平均線からのマイナス乖離10%超
・個別銘柄の25日移動平均線からのマイナス乖離30%超
・25日騰落レシオの60%割れ など

②…底打ちした可能性の高い株価チャートの形となった時点。
底打ちする際におく出現する株価チャートの形になったら買うというもの(チャートの形については下(③の次)で記載)。

③…25日移動平均線の代わりに5日移動平均線を使った株価トレンド分析に従う。
本格的なリバウンドがまだ起こらないならば、5日移動平均線すら超える事なく株価は下落を続けているので、株価が底打ちしたかは『株価の5日移動平均線越え』である程度ふるいにかける事ができる。

<底打ちする際に出現しやすい株価チャートの形>


週足チャートや月足チャートにおける過去の高値は『節目』とよばれ、中長期的な株価の上値メドとなる。そんな『節目』を株価が突破して上昇した場合、株価は新たなステージに入ったと判断する事ができる
ただし、週足や月足チャートでの節目を突破(表■1)した瞬間は短期的に株価がかなり上昇している状態。日足チャートを見ると、移動平均線からの乖離が大きくなっているケースも多いため、移動平均線からの乖離が縮小するのを待つのが望ましい(もちろん、日足でも乖離が大きくなければ買ってしまってもOK)。

第3章 「売りタイミング」はこれ!

基本的に売りのタイミングは『下降トレンドにある時』で、それは日足を使う場合は『株価が25日移動平均線を割ったとき(→★1)』。
厳密に言えば下降トレンドの定義は『株価が移動平均線より下にある+移動平均線自体が下向き』の状態の事なので、必ずしも★1の時は下降トレンドではないが、基本ここで売ればOK。
定義通りに行くならば、★2か★3で売ってもよいが、かなり下がっている可能性も高い。


移動平均線を使わず株価チャートのみで売りタイミングを判断する場合の代表的なものが『直近安値割れ』。通常上昇トレンドでは直近安値を割り込むことなく上昇を続けるので、直近安値割れは上昇トレンド終了のサインと判断できる。
株価が急上昇した場合などは、★1の様に、直近安値割れの方がトレンド転換よりも先に起こる。移動平均線との乖離が大きい(→急上昇)場合は、★1で売却するのも一考。
離れていなければ、★2まで待っても良いか。


上記の通り、株価が短期間に急騰した場合、株価と移動平均線との乖離が大きくなり、通常の株価トレンド分析をあてはめようとすると遅すぎる場合がある。
(上記「急落時のリバウンド」と同じく、過去の騰落率を用いて判断。)

<天井を形成する際に出現しやすい株価チャートの形>


株価を動かす好材料が出た場合、急騰まではいかないまでも、短期間に株価が大きく動く事がある。銘柄や材料の内容にもよるが、20~30%程度上昇する事もあるが、『上場トレンドを維持する限りは保有を続ける』という原則から考えれば、『何もしない』事が正解となる(→ただし、20~30%程度の利益で満足できるなら、売ってもOK)。


株価急騰時に買ってしまうと、上記『短期間の株価急騰時の売りタイミング』のように株価トレンド分析での売り時判断が難しくなる。
株価が直近安値や移動平均から大きく離れている状態での買いは極力避けるべき。


ファンダメンタルズ(業績悪化等)に基づいて損切するという方法もあるが、基本的に機関投資家は個人投資家よりも多くの情報を入手でき、動きが早いので、ファンダメンタルズに基づいて損切すると遅すぎる可能性がある。その為、テクニカルで損切をした方が得策の場合が多い。


<グランビルの法則>
・①~④が買いシグナル

①下落していた移動平均線が横ばい~上昇に転じ、株価が移動平均線を上抜けたとき
②上昇中の株価が調整し、移動平均線を下回ったものの、移動平均線が上昇中であるとき
③上昇中の株価が調整したものの、上昇中の移動平均線を下回らずに再び上昇したとき
④移動平均線が下落しているが、株価が急速に下落して移動平均線から大きく乖離したとき
・⑤~⑧が売りシグナル
⑤上昇を続けていた移動平均線が横ばい~下落に転じ、株価が移動平均線を下抜けたとき
⑥下落中の株価が上昇し、移動平均線を上回ったものの、移動平均線が下落中であるとき
⑦下落中の株価が上昇したものの、移動平均線を上回らずに再び下落したとき
⑧移動平均線が上昇しているが、株価が急速に上昇して移動平均線から大きく乖離したとき

第4章 もっと知りたい!株価トレンド分析


原則として、上昇トレンド転換はローソク足が陽線で、その全部、もしくは大部分が移動平均線を上回ったタイミング。下降トレンド転換はローソク足が陰線でその全部、もしくは大部分が移動平均線を下回ったタイミング。


上記の通り、上昇トレンド転換は、原則は『陽線のローソク足の全部もしくは大部分が移動平均線を上回る』こと。しかし、時にはローソク足の全部が移動平均線を上回っているものの、ローソク足が陰線の場合もある。この場合、上昇トレンド転換の要件の1つを満たしているので、エントリーがダメな訳ではないが、慎重に行う必要あり。


上記とは逆に、陽線のローソク足の全部もしくは大部分が移動平均線を上回っても、まだ移動平均線が下向きのままの場合がある。この場合も上昇トレンドの要件のうち1つしか満たしていない。この場合も相場を見てになるが、強気で行くなら㋐だし、様子を見たいなら㋑まで待てばよい。

トレンド転換はその可能性が高まった段階で速やかにやるべき。その転換判定は基本的に『終値』を用いる。
しかし、トレンド転換当日やその翌日の寄り付きで株価が大きく動いてしまう事も。
その為、『終値』ではなく、『場中』で判断し、フライングで買う(売る)事も(ただし、図中のイやエの様に、リスクは高くはなる)。
なお、筆者感覚だと『相場全体』と個別銘柄の方向性が同じなら、場中で判断しても問題ないケースが多い。


よい銘柄を見つけても、株価と移動平均線の乖離が大きい時は新規買いはしづらい。
こういう場合は、乖離が小さくなるのを待つのがセオリーだが、乖離が縮小しないまま株価が上昇してしまうケースもある。
そんな場合は、飛び乗って買う事も検討する。
ただし、その場合は『直近安値を損切ライン』に設定し、その損切時に自身の許容できる損失率に収まるようにすること。


株価チャートと移動平均線の『株価トレンド分析』だけでも売買のタイミングを的確に判断可能。ただし、それに『ファンダメンタルズ分析』を加えるとさらに勝率が上がる。


突発的な高値で出来高が急増した場合は、『高値掴み』が多いので、その後の株価の上値が重い傾向がある。


『信用買い残高÷信用売り残高』で計算される信用倍率
→1.5倍より小さければ信用取引の需給は良好(将来の上昇が見込める)
→信用売り残高の方が多い場合を『売り長(うりなが)』といい、この場合、信用倍率は1未満(→踏み上げによる株価の大幅上昇が見込める)

第5章 決算、増資、IPO…特殊なケースの対処法

まぁそこまで真新しい事は言っていない(第4章までの内容を徹底しよう的な)ので、割愛。少しいいなと思った図だけ添付。

第6章 人気銘柄診断・そのとき筆者ならこう動く!

第7章 クイズで復習 この問いに答えられるか!?

第6章、第7章は実例に基づく第1章~第4章の応用なので、まぁ見ておけばいいかな、と。